2010年10月25日月曜日

"微分法の応用・積分法・積分法の応用・行列と行列式 (数学読本)"の第18章(曲線の性質, 最大・最小-微分法の応用)の18.2(関数の増減の判定およびその応用)、不等式・方程式への応用の問9, 10, 11を解いてみる。



問9

f(x)=\sin x-\left(x-\frac{x^{3}}{3!}\right)

g(x)=x-\sin x

とおくと、

f'(x)=\cos x-1+\frac{x^{2}}{2}

g'(x)=1+\cos x

よって問題の1つめの不等式は成り立つ。また、

f(x)=\cos x-\left(1-\frac{x^{2}}{2!}\right)>0

g(x)=\left(1-\frac{x^{2}}{2!}+\frac{x^{4}}{4!}\right)-\cos x

とおくと、

g'(x)=-x+\frac{x^{3}}{6}+\sin x

よって2つめの不等式も成り立つ。(2つの不等式は細かく計算すればおそらく答えが出そうなので、1回目はどんどん先に進めるために省略。)

一般化することも出来る。すなわち、

f_{n}(x)=x-\frac{x^{3}}{3!}+\frac{x^{5}}{5!}-\ \cdot\ \cdot\ \cdot\ +(-1)^{n-1}\frac{x^{2n-1}}{(2n-1)!}

g_{n}(x)=1-\frac{x^{2}}{2!}+\frac{x^{4}}{4!}-\ \cdot\ \cdot\ \cdot\ +(-1)^{n}\frac{x^{2n}}{(2n)!}

とおくと、x>0のとき、

f_{2k}(x)<\sin x<f_{2k-1}(x)

g_{2k-1}(x)<\cos x<g_{2k}(x)


問10

f(x)=e^{x}-(1+x)

g(x)=\frac{1}{1-x}-e^{x}

とおく。すると、

f'(x)=e^{x}-1

増減表

x
0
1
f'(x) - 0 +
f(x) 0

よって

f(x)>0,\ (x<1,\ x\ne 0)

また左側の不等式のxを-xに置き換えると、

1-x<e^{-x} 

e^{x}<\frac{1}{1-x}

よって問題の不等式が成り立つことが証明された。

(証明終)


問11

まずnが奇数の場合を考える。

n=1のとき

f_{1}(x)=e^{x}-\left(1+\frac{x}{1!}\right)

f_{1}'(x)=e^{x}-1

増減表

x
0
f_{1}'(x)
-
+
f_{1}(x)
0

よって奇数n=1のとき

x\ne0

のとき

f_{n}(x)>0

となる。

n=k (kは奇数)のとき成り立つと仮定すると

f_{k}(x)>0,\ (x\ne 0)

n=k+2のとき、

f_{k+2}(x)=e^{x}-\left(1+\frac{x}{1!}+\frac{x^{2}}{2!}+\ \cdot\ \cdot\ \cdot\ +\frac{x^{k+2}}{(k+2)!}\right)

f_{k+2}'(x)=e^{x}-\left(1+\frac{x}{1!}+\frac{x^{2}}{2!}+\ \cdot\ \cdot\ \cdot\ +\frac{x^{k+1}}{(k+1)!}\right)

f_{k+2}''(x)=f_{k}(x)

増減表は

x
0
f_{k+2}''(x)
+ 0 +
f_{k+2}'(x)
- 0 +
f_{k+2}(x)
0

よってn=k+2のときも成り立つ。

以上から帰納法より、すべての奇数に対して成り立つ。

n=0のとき、

f_{0}(x)=e^{x}-1

f_{0}'(x)=e^{x}>0\

増減表

x
0
f_{0}'(x)
+
+
f_{0}(x)
0

よって成り立つ。

n=k(kは偶数)のとき成り立つと仮定すると、

f_{k}(x)<0\ (x<0),\ f_{k}(x)>0,\ (x>0)

n=k+2のとき増減表は

x
0
f_{k+2}''(x)
-
+
f_{k+2}'(x)
+ 0 +
f_{k+2}(x)
0

よってn=k+2のときも成り立つ。

ゆえに帰納法よりすべての偶数について成り立つ。

(証明終)

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